〈インタビュー〉ハイアットのホプラメジアンCEOに聞く「ラグジュアリー温泉旅館」の勝算と日本市場での拡大戦略
――日本はインバウンド(訪日外国人)が増える中、外資系ホテルの出店が目立ちます。世界戦略における日本市場の位置づけを教えてください。
日本市場を魅力的に思う理由はいくつかある。インバウンドの増加はその1つにすぎない。魅力として挙げられるのは国内需要の力強さだ。当社のロイヤルティプログラム「ワールド オブ ハイアット」では、日本人会員の成長率が年20%増で、しかもそれが5年続いている。
私たちの存在感が高まっているからこそ、日本の多くの方がハイアットを利用してくれていると思う。日本だけでなくアジアでもかなり強い存在感があり、認知度が高い「グランド ハイアット」はムンバイ(インド)から東京まで展開できている。今後はリゾート出店も増やしていきたい。
来年には京都で割烹料理店も開業
――日本ではどのような戦略でホテルを展開していますか。
日本では現在22軒展開している。10年間で3倍に増えるという、かなり速い成長を遂げてきた。いまパイプライン(開発計画)にあるものすべてが開業すれば、ホテル数は2倍になる予定だ。具体的な時期は伝えられないが、5〜10年の間に開業する予定だ。
ラグジュアリー温泉旅館の「吾汝 Atona」は、2028年に大分・由布でオープンする。それに先駆け、来年には京都で飲食店「割烹 吾汝」を開業する。これはホテルの飲食を事前に体験してもらう、いわばパイロット版として運営できると考えている。
アメリカやほかの国にはある低価格帯のブランドが日本にはなく、今後成長の可能性がある。ただ、当社の強みはラグジュアリーと(宿泊だけにとどまらず滞在そのものを楽しめるホテルの)ライフスタイルだ。今後もこの2つの領域がいちばん強いと思う。
――外資系ホテルに日本の温泉旅館が運営できるのですか。
実は、私は学生時代に日本建築、文化、芸術を学んでいた。旅館をやるのであれば、本物でなければしたくないとの思いが強くあった。
そのため、今回は運営や開発の知見があり、ファイナンスやプロジェクトマネジメント、マーケティングまで手がける専門家集団の「Kiraku」(キラク、京都市)とパートナーシップを結んだ。


















