有料会員限定

〈インタビュー〉ハイアットのホプラメジアンCEOに聞く「ラグジュアリー温泉旅館」の勝算と日本市場での拡大戦略

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
ハイアットのマーク・ホプラメジアンCEO
「学生時代に日本建築、文化、芸術を学んでいた」というマーク・ホプラメジアンCEO(撮影:尾形文繁)
世界80カ国でホテルなど1450以上の施設を展開する米ハイアット・ホテルズ・コーポレーション。日本でも「パーク ハイアット 東京」(新宿)などが、客単価の高い高級カテゴリーであるラグジュアリーブランドのホテルとして知られている。
そのハイアットが「ラグジュアリー温泉旅館ブランド」として打ち出すのが「吾汝 Atona」だ。2028年以降、由布(大分県)、屋久島(鹿児島県)、箱根(神奈川県)、余市(北海道)、久住(大分県)と計5店を開業する。
またハイアットは、今後10年で日本で展開するホテル数を22軒から倍増させる考えだ。温泉旅館出店の背景や今後の出店戦略について、来日したマーク・ホプラメジアンCEOに聞いた。

――日本はインバウンド(訪日外国人)が増える中、外資系ホテルの出店が目立ちます。世界戦略における日本市場の位置づけを教えてください。

日本市場を魅力的に思う理由はいくつかある。インバウンドの増加はその1つにすぎない。魅力として挙げられるのは国内需要の力強さだ。当社のロイヤルティプログラム「ワールド オブ ハイアット」では、日本人会員の成長率が年20%増で、しかもそれが5年続いている。

私たちの存在感が高まっているからこそ、日本の多くの方がハイアットを利用してくれていると思う。日本だけでなくアジアでもかなり強い存在感があり、認知度が高い「グランド ハイアット」はムンバイ(インド)から東京まで展開できている。今後はリゾート出店も増やしていきたい。

来年には京都で割烹料理店も開業

――日本ではどのような戦略でホテルを展開していますか。

日本では現在22軒展開している。10年間で3倍に増えるという、かなり速い成長を遂げてきた。いまパイプライン(開発計画)にあるものすべてが開業すれば、ホテル数は2倍になる予定だ。具体的な時期は伝えられないが、5〜10年の間に開業する予定だ。

ラグジュアリー温泉旅館の「吾汝 Atona」は、2028年に大分・由布でオープンする。それに先駆け、来年には京都で飲食店「割烹 吾汝」を開業する。これはホテルの飲食を事前に体験してもらう、いわばパイロット版として運営できると考えている。

アメリカやほかの国にはある低価格帯のブランドが日本にはなく、今後成長の可能性がある。ただ、当社の強みはラグジュアリーと(宿泊だけにとどまらず滞在そのものを楽しめるホテルの)ライフスタイルだ。今後もこの2つの領域がいちばん強いと思う。

――外資系ホテルに日本の温泉旅館が運営できるのですか。

実は、私は学生時代に日本建築、文化、芸術を学んでいた。旅館をやるのであれば、本物でなければしたくないとの思いが強くあった。

そのため、今回は運営や開発の知見があり、ファイナンスやプロジェクトマネジメント、マーケティングまで手がける専門家集団の「Kiraku」(キラク、京都市)とパートナーシップを結んだ。

次ページ「吾汝 Atona」の狙いとは
関連記事
トピックボードAD