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「大川原化工機事件」で国と闘った弁護士の矜持。和田倉門法律事務所 弁護士・高田剛氏インタビュー

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和田倉門法律事務所 弁護士 高田剛氏
高田 剛(たかだ・つよし)/和田倉門法律事務所 弁護士。東京大学薬学部卒業、2000年弁護士登録。16年和田倉門法律事務所設立。コーポレートガバナンス、会社訴訟、不正調査、税務争訟などを主に手がける。複数の企業で社外役員を歴任。大川原化工機事件では刑事事件の弁護人、国賠訴訟の会社側代理人を務めた(撮影:尾形文繁)

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BUSINESS LAWYERS AWARD 2025でグランプリを受賞した高田剛弁護士。弁護士として大川原化工機事件とどう向き合ったのか。

「警察も理解してくれる」と思っていた

──事件とはどういう経緯で関わるようになったのですか。

10年ほど前、大川原化工機の金融関係の案件を受任したのを機に、同社と顧問契約を結んだ。事件との関わりが始まったのは、「警視庁の公安部が家宅捜査に来た」との会社からの1本の電話だった。

会社と相談して、捜査には全面的に協力することにした。当初は「事情を説明すれば、警察も理解してくれる」と思っていた。だが、任意の取り調べがなかなか終わらない。通常は3~4カ月もあれば十分だが、大川原正明社長は1年以上、毎週警察に呼ばれていた。

逮捕も予想外だった。これだけ誠実に対応していれば、社長らの逮捕の必要はないはず。私の想像力が足りなかったのかもしれないが、当時は警視庁公安部が100人態勢で捜査を進めているとは思いもしなかった。

──当初から「勝ち筋」はあったのでしょうか。

刑事弁護を始めた段階で、ある程度自信はあった。

警察は、特定の貨物の輸出入を規制する外国為替及び外国貿易法(外為法)に関し、国際的に採用されていない独自の法令解釈をしていた。会社の従業員の方々と協力し装置の殺菌能力を検証する実験を行ったが、警察の法解釈を前提とした結果にはならなかった。後に警察側の開示資料を読んだときも、その主張に必要な実験が行われていないことはすぐにわかった。

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