突然、見知らぬ人からメールが入った。
「食道がんです。助けてください。すぐ会えますか」
えっ、名前も名乗らず、すぐに会えって……。
さすがにムリだ。
確かに、私はがん治療の相談をもちかけられることが多い。
4年前に自身の食道がんの治療について、『がん治療選択』という本を出し、続編をサイトで書き続けている。だから医療相談のメールが舞い込んでくる。
だが、限界ってもんがある。
私は医者ではない。他人の医療に口出しすることはできない。
しかも相手は赤の他人である。
自分で考え抜いて選ぶこと
『がん治療選択』のポイントは、自分の生き方に合った治療を自分で考え抜いて選ぶことだ。
なので、どう生きてきたか分からない人に対して、治療選択の正解を示せるはずもない。
それでも、冒頭のメールには少なからぬ衝撃を受けた。名乗ることもなく、叫ぶように「すぐ会えますか」とメールするって……。




















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