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「がんが治った」 悪質商法に騙された女性の不幸 なぜ人々は"エセ医療"に騙されてしまうのか

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「がんは予防できる」。信じた女性は不幸な最期を迎えた。

コロイド化ヨウ素水を手にする女性
女性が購入したコロイド化ヨウ素水(撮影:岩澤倫彦)

特集「不安につけこむ「医療情報」の罠」の他の記事を読む

人の命を左右することもある医療情報。SNS上では私たちの不安につけこんだ、根拠に乏しい情報があふれている。本特集のタイトルは「不安につけこむ『医療情報』の罠」。何を信じ、何を疑えばいいのか。

乳がんを克服したはずの70代女性が、エセ医療を絡めたマルチ商法に騙(だま)され、今年5月に自ら命を絶った。

このマルチ商法の組織には、自由診療クリニックを経営する複数の医者が関与していた。がん患者を騙す巧妙な手口とは──。

ヨウ素水でがん治療?

金融機関を定年退職した女性は穏やかな第二の人生を送っていたが、8年前にステージ2の乳がんと診断された。標準治療の外科手術を受け、全摘して寛解(がんが縮小または消失)したが、このときから再発や転移に対する不安を訴えるようになったという。

その後、長年連れ添った夫の他界が、不安をさらに深めた。女性は一人暮らしになり、久しぶりに家を訪ねた親族は驚いたと語る。

「家の中が荒れてゴミ屋敷みたいでした。なぜか同じ本が何冊も積み重なっていて、段ボール箱にはラベルが付いていない謎のボトルがたくさん入っていたのです。聞くと、『がんを予防できる、コロイド化ヨウ素水だよ』と……」

本のタイトルは『末期がん患者を救った男』。手術や抗がん剤を拒否して、ヨウ素水で進行がんが“治った”ケースが紹介されている。著者は医療系ベンチャー経営者と称する、ウィンメディックスの白木茂社長だ。その講演会に女性は知人に誘われて参加した。そしてヨウ素水を紹介されたが、手に入れるには、ウィン社の未公開株を購入する必要があった。

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