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子宮頸がんワクチン「副反応」をめぐる10年論争 1万人に3人の"副反応疑い"とどう向き合うか

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ワクチンを推進する側にも、被害を訴える側にも、「正義」がある。

キャッチアップ接種を知らせる自治体からのはがき
接種を逃した人向けのキャッチアップ接種を知らせる自治体からのはがき(写真:編集部撮影)

特集「不安につけこむ「医療情報」の罠」の他の記事を読む

人の命を左右することもある医療情報。SNS上では私たちの不安につけこんだ、根拠に乏しい情報があふれている。本特集のタイトルは「不安につけこむ『医療情報』の罠」。何を信じ、何を疑えばいいのか。

「子宮頸(けい)がん予防接種を無料で接種できるのは、令和7年3月31日までです」。6月下旬、市から送られてきた1通のはがき(上写真)を見て、男性(45)は頭を抱えていた。

「HPVワクチン」とも呼ばれる子宮頸がんワクチン。HPV(ヒトパピローマウイルス)とは、女性の子宮頸がんの原因となるウイルスだ。性行為で感染し、ほとんどは自然に消えるが、一部の人でがんになることがある。ワクチンによって感染を防ぐことで、がんの予防が期待されている。

HPVワクチンの公費での接種の対象は小学校6年〜高校1年生相当の女性だ。高校生の娘がいる男性は「娘には『打ったほうがいいんじゃない?』と話してきたが、『絶対に打ちなさい』とは言えなかった」と話す。

男性が躊躇するのは、これまでの接種をめぐる報道を見てきたからだ。まず、この10年間の経緯と報道状況をたどっていきたい。

HPVワクチンは2013年4月から定期接種が始まった。ところが、接種後に疼痛(とうつう)や運動障害を中心とした多様な症状が報告され、厚生労働省は同年6月に積極的勧奨を差し控えた。これは、定期接種は続くが各家庭への接種の呼びかけを控えることを意味する。

打たないことによる被害

それから約9年後の22年4月、ワクチンの安全性と有効性を示すデータが出そろったとし、厚労省は積極的勧奨を再開した。この間、日本は世界保健機関(WHO)から接種率の低さを批判されていた。

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