子宮頸がんワクチン「男子もタダ」の深刻事情 「HPVによる咽喉がん」増加中、声を失う人も
8月1日、中野区が都内自治体では初めて、小学6年〜高校1年相当の男子に対し、HPVワクチンの接種を無償化した。HPVとは「ヒトパピローマウイルス」の略称で、子宮頸がんの原因として知られている。そのため同年代女子への接種は、すでに国が定期化(無償化)している。
なぜ子宮頸がんワクチンを男子に?と思われるだろう。そこには、「HPVによる咽頭がんの増加」という深刻な事情がある。
若い世代に増加、声を失う人も
HPVの「パピローマ」とは乳頭腫の意味で、つまりはイボを作るウイルスである。人体に感染するHPVにもいろいろあって、大まかに以下の3つが身近だ。
●手のひらや足の裏などにいぼ(尋常性疣贅<ゆうぜい>)を作るタイプ
●顔などに平らなイボ(扁平疣贅)を作るタイプ
●子宮頸がんや中咽頭がんの原因となるタイプ(HPV16型・18型)
手足のイボなどは、経験のある人も多いだろう。あれもHPVの仕業ということだ。ナビタスクリニックの皮膚科でも、皮膚を削って液体窒素で焼く治療を行っている。顔などの扁平疣贅は、治療しなくても自然に治ることも多い。当然ながら、がんはやっかいだ。
大事なのは、HPVが子宮頸がん以外にも、陰茎がん、肛門がん、そして中咽頭がんなど、男女を問わないがんの原因になることだ。中咽頭とは、喉の奥から扁桃、舌の付け根のあたりまでを指す。
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