「続く咳=コロナ後遺症」に医師が異を唱えるワケ 真の「後遺症」は訴えの半数、驚きの最新研究

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深刻な問題となっている「コロナ後遺症」の実態とは?(写真:タカス/PIXTA)

「withコロナ」がコンセンサスとなった今、本格的な議論の必要性を実感しているのが「コロナ後遺症」だ。

治癒から数カ月たっても体に力が入らない、頭がぼーっとして集中や適切な判断ができない(ブレインフォグ)といった症状の患者さんがいる。普通の日常生活を取り戻せない状態が続くことは、その人の人生にとっても、また正常化を目指す社会にとっても、深刻な問題だ。医師として全力で向き合い、寄り添う日々が続いている。

だが一方で、どうにもスッキリしないこともある。風邪やインフルエンザの後にも起きる「感染後咳嗽(がいそう)」や「咳喘息(ぜんそく)」と考えられる症状をコロナ後に発症した場合に対しても、別物として「コロナ後遺症」との診断を下すべきなのだろうか?

呼吸器感染症の後に残る咳は「コロナ後遺症」か?

感染後咳嗽は、風邪やインフルエンザで上気道(鼻から喉)の炎症が治まった後に、咳のみが続いてしまう病態だ。1カ月以上続くこともあるが、通常は自然に、少しずつ改善して最終的には完全に咳は止まる。

咳喘息とは、呼吸困難を伴わず、咳だけが慢性化した喘息の一種だ。背景にアレルギー体質があり、感染による上気道の炎症がきっかけで悪化したり顕在化したりするケースが多い。放置すれば気管支喘息に移行して呼吸困難に陥ることもあり、決して軽視はできない。

感染後咳嗽と咳喘息との見分けは難しい。ただ、いずれにしても、だ。

私の医師としての考えは「軽微で生活に支障がない程度の慢性の咳について、原則として『コロナ後遺症』としての診断は下すべきではない」というものだ。

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