なぜ日本は沈黙?「子宮頸がんワクチン」の大論点 4月から定期接種化するのに議論盛り上がらず

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日本での子宮頸がんワクチン接種率はほぼ0%と著しく低い。世界ではどうなのか(写真:ペイレスイメージズ1/PIXTA)

今年4月から子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)を予防するワクチンが定期接種化する。厚労省がワクチンを推奨を呼びかけるのは8年ぶりのことで、日本の女性にとってこのニュースは非常に重要なはずだ。しかし、日本ではワクチン接種に関する議論があまりにも低調なため、この意義が伝わっていない可能性がある。

HPVは、女性(そして男性も)にとってさまざまな病気の原因となるが、こうした病気は検診やワクチン接種によって予防することができる。日本政府によるがん統計では、2017年におけるHPVによって引き起こされた子宮頸がんの新規症例は約1万1000人、死亡症例は約2800人に上る。

ワクチンのリーダー的存在から後進国へ

今回、HPVワクチン接種推進に動き出した日本だが、ここに来るまでには紆余曲折があった。

そもそも日本は戦後、ワクチン接種のリーダー的存在だった。が、日本の製薬業界は、1970年代にワクチン開発・製造からほぼ撤退。実際、ワクチンを手がける会社は世界でも非常に限られている。背景には、「ワクチンを受ける人が健康であることが前提で、リスクとベネフィットの比率を理解してもらうことが難しいことがある」と、メディカル・データ・ビジョンの新執行役員を務めるフィリップ・オヴァロ氏は話す。

また、「パンデミックの推移や、それがいつエンデミック(インフルエンザのように流行が特定の地域で繰り返し起こること)に変わるのかさえ誰にも予測できないため、大量生産しようにもリスクは高く、リターンも不透明になってしまう」(オヴァロ氏)こともあった。

日本の製薬会社がワクチン開発を諦めるのと足並みをそろえるようにして、日本政府もワクチン政策を怠るようになった。欧米のワクチンメーカーは、日本のワクチン認可が遅れていると繰り返し訴えているが、状況が改善する兆しはない。

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