製薬会社から医師個人へ、年間数百億円が支払われる。
「政治とカネ」で足元がぐらついても、自民党は政治資金規正法の改正で企業・団体献金を手放そうとしなかった。自民党の受領額は年間数十億円超。これを失うわけにはいかないということだ。
しかし、その政治とカネをはるかにしのぐのが「製薬マネー」だ。製薬会社から医師個人へ、年間数百億円が支払われる。
医師らでつくるNPO法人「医療ガバナンス研究所」が公開した最新のデータベースによると、2021年度に年間1000万円以上の副収入を得た医師は184人。コロナ禍で一時は減少したが、再び増加に転じている。
顧客は患者ではなく医師
製薬会社にとっての顧客は、患者ではなく医師である。医師による処方箋が必要な「医療用医薬品」が、製薬会社の売り上げの約9割を占めるからだ。医師にアプローチする際、有力な手段が自社主催の講演会だ。講師には、医師の間で発言力がある「キー・オピニオン・リーダー」(KOL)を起用し、医師を対象にして薬や疾患についての講演を行う。
その狙いについて、製薬会社の複数の営業経験者が「自社の薬に有利になるよう、露骨にならない程度に語ってもらう」と言う。別の担当者は「(講演会場に集まった医師たちに)一網打尽に接触できる」と語った。
ほかにも新薬開発などのアドバイスをしてもらうコンサルティングや、自社が発行する冊子などへの原稿執筆で医師との接点ができる。これらには「謝金」という形で支払う。21年度に製薬会社から医師へ支払われた講師謝金は約250億円にも上る。
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