「2024年問題」は物流、建設業界だけの話ではない。
2022年5月、神戸市の甲南医療センターで働いていた26歳の医師が、自ら命を絶った。労働基準監督署が認めた、亡くなる直前月の残業時間は207時間。過労死ラインの月80時間を大きく超えていた。
他職種では始まっている働き方改革。しかしドライバーや建設業と同じく医師については、医療提供体制への影響を考慮し5年の猶予期間が与えられていた。若手医師の過労自殺は、まさにこの猶予期間中に起きた。
これまで医師には残業時間の上限規制がなかった。24年4月の働き方改革施行で初めて罰則付きの規制が適用されるが、働き方が改善されるとみる向きは少ない。
そもそも医師の数が足りない
まず一般的な残業時間の上限は年360時間だが、医師の場合は過労死ラインである960時間まで認められる。さらに一部の医療機関では、その倍近くの1860時間が上限となるのだ。
23年11月に全国医学部長病院長会議が公表した調査結果では、大学病院に勤務する医師の4割近くが、24年度に年間1860時間の上限適用を申請して働くことがわかった。87人の医師は、残業が1860時間を超える見込みだという。
こうした状況の改善には管理職や病院側の意識の変化も必要だが、それだけでは解決しない。そもそも医師の数が足りないのだ。
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