足元では明暗が分かれつつある。
「ここまで消費が強いなんて予想できなかった」。食品スーパー大手の首脳は2023年をそう振り返る。
スーパー業界では当初、外食需要の回復や消費者の節約意識の高まりを受けて、店舗の客数が減少するという見立てだった。しかし実際は好決算が相次いだ。例えば、最大手イオンの今23年3〜8月期決算は営業利益が前年同期比22%増の1176億円と、上期の過去最高を更新した。
業績好調の最大の要因は値上げが想定以上に進んだことだ。22年10月に、ビールメーカーが一斉に値上げを実施。追随するようにほかの商品も、仕入れ先からの値上げ要請が相次いだ。「小売り側が吸収できるレベルではない」(別のスーパーの中堅幹部)と、小売り側も値上げに踏み切っていった。
スーパー業界全体で値上げが進んだ結果、過度な特売の抑制にもつながった。客数が伸び悩んだところも客単価上昇が補った。
単価増頼みの好業績
好業績とはいえ、裏を返せば単価上昇頼みといえる。この勢いはいつまで続くのか。消費者はどこまで値上げを許容するのか。
これらの点について、関係者の間では「24年後半にも実質賃金が上向いてくれば、消費の勢いは続く」と楽観的な意見もある。だが、「24年以降どうなるかはわからない」(ヤオコーの川野澄人社長)、「24年5月以降は単価の伸びが鈍化するのでは」(別の有力スーパー社長)といった悲観的な見方が多勢だ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら