大手の業績は堅調だが……
「足元の経営環境が未曾有の厳しさとなっている中、通期見通し(の実力利益)は過去最高の8400億円を堅持する」
日本製鉄の森高弘・副社長が11月の2023年度中間決算発表の場で語った言葉は、現在の鉄鋼業界の状況を的確に表している。
中国経済の低迷長期化や国際紛争の拡大などで世界的に鉄鋼需要は盛り上がらない。国内に目を向けても、半導体不足の緩和で自動車向けこそ上向いたが、そのほかの製造業向けはパッとせず、土木建築向けも人手不足で盛り上がりに欠ける。
結果、23年の粗鋼生産は10月までで対前年同期比3%減。年間では8000万トン台後半で、かつての1億トンには遠く及ばない。
国際市況も落ち込んだ。21年にトン当たり1000ドルを超えていた中国ホットコイル市況は、23年の一定期間、600ドルを下回っていた。
主原料は高値圏
一方で、主原料は高値圏にある。とくに原料炭が、22年4〜6月の526ドルより下がったものの、年末にかけ300ドル台へ戻っている。
数量が増えない中で、市況下落とコスト増という、まさに「未曾有の厳しさ」にある。しかし、国内の鉄鋼大手の業績は堅調だ。
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