サントリー国内飲料トップの本音「シェアだけを追う時代ではなくなった」・・・コスト上昇との狭間で揺れる胸の内、業界全体で対応すべきこととは?

内貴八郎/ないき・はちろう 1960年4月生まれ。1979年育英高校(兵庫県)卒業後、サントリーフーズ入社。2016年同社社長、2019年サントリービバレッジソリューション社長などを経て、2023年1月にサントリー食品インターナショナルで国内事業を統括するSBFジャパン社長。同年3月にサントリー食品インターナショナル取締役専務(撮影:今井康一)
ミネラルウォーター「サントリー天然水」、コーヒー飲料「ボス」などでおなじみのサントリー食品インターナショナル。高いブランド力やマーケティング力を武器に、国内シェアは日本コカ・コーラに次いで第2位となっている。
一方、未曾有の原材料高に見舞われ、サントリーは2022年から毎年値上げを実施。消費者の買い控えが起きているうえに、より低価格な小売店のプライベートブランド(PB)の攻勢も厳しい。販売減を抑えるべく、スーパーやドラッグストアでは飲料が格安で販売されるなど、収益性の低さが大きな課題となっている。
コストの上昇局面で、薄利多売の状況から抜け出すことはできるのか。サントリー食品インターナショナルで国内事業を統括するSBFジャパンの内貴八郎社長に聞いた。
40年ぶりの値上げを実施
――ミネラルウォーター「天然水」(550ミリリットル)の現在の希望小売価格は税抜170円、緑茶飲料「伊右衛門」(600ミリリットル)は同180円と、ここ数年でずいぶん高くなりました。今年の10月にはさらなる値上げも控えています。
これまで飲料業界は少しでも安く売ってシェアを獲得するのが当たり前だった。われわれは2019年に値上げしたが、それまでの約40年間、消費税以外で価格を上げたことはなかった。だが、値上げをする度に販売数量がついてこなくなっており、人件費や製造費も上がっているのでどうしても薄利になる。
当社で最も利益率が低いセグメントが国内飲料だ。PBが台頭している水や無糖茶、原価が高騰しているコーヒーの販売量が多いということもあり、値上げやコスト増から受ける影響が他社と比べて大きい。
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