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医師の認知症「誤診」で財産を奪われる高齢者たち 「成年後見制度はゼロからつくり直すべし」

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トラブルが絶えない成年後見制度。安易な診断書を書く医師が多すぎる。

後見制度のトラブルに見舞われたAさん
(撮影:西岡千史)

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人の命を左右することもある医療情報。SNS上では私たちの不安につけこんだ、根拠に乏しい情報があふれている。本特集のタイトルは「不安につけこむ『医療情報』の罠」。何を信じ、何を疑えばいいのか。

大学時代に洗礼を受け、クリスチャンとして聖書を人生の道しるべに生きてきた。岡山大学農学部を卒業した後は同県の農業試験場に就職し、農業経済学を教えていたこともある。今でもドイツの環境経済学者、E・F・シューマッハーの著書『スモール イズ ビューティフル』を座右の書とし、新聞は隅から隅まで目を通すことを日課にしている。

岡山県井原(いばら)市に住むこのAさん(92)は、年相応の衰えはあるものの、日々の生活のほとんどのことを自分自身でこなしている。2006年に妻に先立たれてからは、知的障害のある息子と2人で一緒に過ごしてきた。

一方的に後見人をつけられた

そんな静かな暮らしに異変が起きたのは4年前の20年8月。市内のかかりつけの病院で「アルツハイマー型認知症」と診断された。それを受け、同市の大舌勲市長は、Aさんに成年後見人をつけたいと家庭裁判所に申し立てた。

医師が記入する家裁所定の診断書には、「支援を受けても、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない」にチェックが入り、「話し合いが出来ない」「感情失禁が度々ある」と記されていた。これは、ほぼ寝たきりの状態で、会話もできない重度の認知症と診断されたに等しい。Aさんは「私はそれほどボケていないのに、『あなたは認知症だ』と突然言われ、一方的に後見人をつけられた」と話す。

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