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子宮頸がんワクチン「副反応」をめぐる10年論争 1万人に3人の"副反応疑い"とどう向き合うか

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HPVワクチンの記事を発信し続けている医療記者の岩永直子さんは、過去に悔しい思いをしてきた。16年8月、読売新聞の医療サイト「yomiDr.(ヨミドクター)」でワクチンの効果や安全性を伝える連載を組んだところ、新聞社にクレームの電話や手紙が殺到した。

その結果、新聞社は連載を打ち切り、長崎大学の森内浩幸教授の寄稿記事を削除した。その記事は、積極的勧奨を中止し続けていたことで、本来ならワクチンで助かるはずの多くの人が命を落とすことになるという主旨だ。それを〈恐るべき規模の大量殺りくに「不作為」という形で加担しているのと同じ〉と表現した。

「この『殺りく』という言葉が強すぎるとして、読売新聞は削除の判断をした。だが当時すでに国際的な評価でワクチンは安全だという見方が強かった。打った後に出た症状は被害として見えやすいが、打たなかったことによる20年先の不幸、がんによる痛みは目に見えにくい。それを可視化したかった」と岩永さんは話す。

萎縮していった大手メディアの報道

時を同じくして、競合の朝日新聞でも異変が起きていた。

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