SMCが半導体用チラーで狙う「サムスンとTSMC」 高田社長が大号令、参入46年目に訪れた"商機"

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チラーを装置につなぐと、液体が配管を循環し、マイナス数十度の冷たさを維持できる。急激な負荷が生じた際も、SMC製品は±0.1度に影響を抑える。同社のグローバル推進部でチラーを担当する市瀬仁課長は「以前の業界水準は±1度だったが、当社が塗り替えた」と胸を張る。

チラーを担当するSMCグローバル推進部の市瀬仁課長(記者撮影)

冷却能力を上げるには、出力も高めねばならない。普通に考えれば、機械は大きくなり、必要な電気量も増える。ただ、空圧機器の製造を本業とするSMCにとって、装置の効率的な制御は得意分野。独自のノウハウを基に、競合他社の製品と比べて半分以下の消費電力、約20%の省スペースを実現した。

高田社長は説明会でこう意気込んだ。「サムスンからも⾔われたが、1つのファブ(工場)を造るとソウル市内と同じような電⼒消費量になる。電⼒を削減できるものはいかなることでも実施したいというお話があり、そういうところをSMCがヘルプする形で伸ばしていきたい」。

環境性能にも自信

海外の厳しい規制を受けて、環境性能にも対応した。アメリカでは2026年1月、EUでは2027年1月から、地球温暖化係数(GWP)が高い冷媒を用いたチラーの製造と輸入が禁止される。

これによってフロンガスを用いた冷媒の多くが使えなくなる。SMCは2023年9月、代わりにCO2を冷媒とする機種を発売。これは特注品という扱いだったが、今年9月には標準品のラインナップに加える予定だ。

環境に悪いイメージのあるCO2だが、冷媒としての活用では話が変わる。GWPはエアコンで用いる冷媒と比べると675分の1と圧倒的に小さい。既存のチラー向け冷媒と比べると、1430~2088分の1になる。

市瀬課長は「アジアの規制はまだ厳しくない。それでもTSMCやサムスンの工場は世界中にあり、エコへの意識はとても高い」と指摘した。話しぶりから推察するに、商談はかなり好調に進んでいるようだ。

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