AIで爆速成長中の台湾発企業、エイピアグループのチハン・ユーCEOが語る業界の将来像。「26年はエージェント型AIのトレンドが間違いなく来る」
AIブームの中、販促効果を高めるサービスを国内外で展開する急成長企業がある。台湾発で東証プライムに上場するAppier Group(エイピアグループ)だ。AIの研究者でもあるチハン・ユーCEOに話を聞いた。
──エイピアは2022年に営業黒字化を果たし、ここ数年は年率約30%もの高い売り上げ成長を続けています。なぜ早期の収益化を達成できたのでしょうか。
AIで顧客のROI(投資利益率)を向上させて利益をもたらし、顧客がお金を払うインセンティブを高めるという、プロダクトの設計思想が成長の基本だ。
当社のソフトウェアを使って売り上げや利益が伸びるとわかれば、稼ぎたい企業がどんどん使う。顧客が使えば使うほど、(販促関連の)リアルデータが取れてAIが賢くなり、より良いROIが出る。好循環するビジネスモデルの構造があり、継続的成長につながっている。
新技術への顧客の関心が高まる
──25年秋にはエージェント型AIを販促ツールに統合しました。25年をどう振り返りますか。
営業戦略的に主要顧客との関係強化を推進し、とくにeコマースを展開する顧客向けのビジネスが力強く伸びた。また、(AIで販促)動画を作るといったクリエイティブ領域など、新技術に対する顧客の関心も高まったことで、去年と比べても良い事業モメンタムを維持できている。
私自身は20年以上エージェント型AIの技術に関わり、博士論文のテーマも、複数のエージェントをどう一緒に働かせるかという「マルチエージェントAI」についてだった。エージェントの時代になってワクワクしているし、これまで研究を続けてきた分野が今われわれの製品に反映されており、25年になって顧客からの需要も非常に強くなってきた。長い取り組みがようやく報われつつある。
――22年のChatGPT公開後、AIへの社会的関心が急速に高まりました。長年AIに携わった立場からは、足元のAIの技術的な進展、市場動向の変化についてどのように見ていましたか。
エージェント型AIにとって、すごく追い風が吹いた。AI業界は3つの階層が存在する。一番下がGPU(画像処理半導体)などハードウェアの階層で、真ん中がChatGPTなど汎用的な基盤モデルを提供する階層だ。一方、われわれがいるのはその上で、ある分野に特化したソリューションやソフトウェアを提供する、「アプリケーション」の階層だ。
例えば、基盤モデルが大学の新卒だとすれば、アプリケーションは業界に特化したデータを学んだ博士号取得者のようなもの。基盤モデルが賢くなればわれわれのマーケティングの専門家ももっと賢くなるという意味で、大きな恩恵を受けている。



















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