資本主義はどこに向かうのか
研究者と実務家で資本主義について共同研究する場として「資本主義研究会」を立ち上げたのが10年前のことで、これまで50回近い公開セミナー(「資本主義の教養学」公開講演会)を開催してきました。
この研究会は、渋沢栄一の玄孫(やしゃご)でコモンズ投信会長の渋澤健や東京大学東洋文化研究所所長の中島隆博など、学者・有識者の有志と始めたもので、現在では経済学者の宇沢弘文の長女で宇沢国際学館を主催している占部まりなど多くのメンバーが加わっています。
この研究会の成果の中間報告として2019年に『資本主義はどこに向かうのか』という本を出版しました。それからさらに5年の月日が経過しましたが、資本主義の加速はとどまるところを知らず、その弊害も看過できないレベルになっています。
足元では、岸田内閣の「新しい資本主義」や経済同友会の「共助資本主義」、アメリカの経済団体ビジネス・ラウンドテーブルの「ステークホルダー資本主義」に見られるように、どこかでこの資本主義の暴走に歯止めをかけなければ、あるいは軌道修正をしなければというのが世界共通の問題意識になっています。
そうした動きの全貌は、いつか1冊の本にまとめようと思っていますが、本稿では資本主義の未来をどう見るかについて考えてみたいと思います。
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