資本主義の先行きについては、大別して資本主義を前提にその中から考えるのか、あるいはその外をイメージするのかという2つに整理することができます。
前者は、現代社会における資本主義の限界を明確に認識したうえで、その内側から現状を変えていこうという、いわば修正資本主義的な考え方です。
カール・マルクスは、『資本論』において、資本主義は階級闘争によって内部崩壊を引き起こし、社会主義という新しいシステムへと移行するという唯物史観(史的唯物論)を示し、資本主義の未来そのものを否定しました。
しかしながら、ソヴィエト連邦や東ドイツを始めとする共産主義諸国の国家体制が崩壊して以降、現在の議論の多くは、資本主義という経済体制を前提に、それをどのように持続可能なものにしていくかという修正資本主義に収斂していると考えられます。
ケインズ経済学、新自由主義、SDGs
ここで経済の歴史について改めて確認することはしませんが、1929年の世界恐慌を契機に、経済は自律的に回復するという新古典派の経済理論は後退し、自由放任主義ではなく国家による介入・規制を重視するケインズ経済学が誕生します。
これに対して、1960年代に入ると、ケインズ的な経済政策は「大きな政府」を生み出し、財政破綻を招くという批判が噴出し、政府の規制や介入は極力排除し、市場原理を優先すべきであるとする新自由主義が登場しました。
これを実際の経済政策に反映させたのが、1980年代のアメリカのレーガノミクスやイギリスのサッチャリズムで、それ以降、世界経済の自由化と市場化が一気に進むことになります。
しかしながら、2008年のリーマンショックとそれに続く経済危機によって、世界は再び激震に襲われます。その中で浮かび上がってきたのが、資本主義がもたらす地球や社会の持続可能性の危機という問題です。地球環境を破壊し、経済格差を広げ、社会を不安定化していく今の資本主義の仕組みをどのように是正し、持続可能なものにしていくかは、世界が抱える大きな課題となっています。
こうした現状に対して、2015年、国連はグローバルな課題に取り組むためのSDGs(持続可能な開発目標)という17の目標を掲げ、2030年までに世界が抱えるすべての課題を解決するべく動き始めました。
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