ハーバードMBA修了生の4分の1が"職なし"、AI時代の大学に求められる「真正良心」の教育

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ハーバード・ビジネススクールの2024年修了生のうち、就職活動を行った約4分の1が就職先を見つけられなかったという(写真:Leonid Andronov/PIXTA)
日本最大規模の女子大学である武庫川女子大学(兵庫県西宮市)が、2027年度から共学化に踏み切る(附属中学校・高等学校は女子校を継続)。同大学幹部が「うちが共学になったら、ほかへの影響は甚大でしょうね」と語るように、これは激変する大学界の潮目となるだろう。
しかし、この一件を女子大学変革の象徴的現象として見るだけでは、単なる「構造不況業界論」に終始してしまう。そのような記事はすでに数多く出回っている。
本稿では前編・中編・後編の3回に分けて、かつて「女子大集積地」だった兵庫県・阪神間の激変に着目。その背景になった「ええしの子」文化から生まれた「お嬢様」と「お坊ちゃん」という社会認識の変容に言及し、リーダー、さらには事業承継者になるうえで注意すべき心得について提唱する。
前編:消える"日本一のマンモス女子大"!「武庫川女子大」の共学化が映し出す歴史の因果
中編:"アホボン"では生き残れない!日本のファミリービジネスの変容が招く「お坊ちゃん大学」の岐路

(外部配信先ではハイパーリンクや画像がうまく表示されない場合があります。その際は東洋経済オンラインでご覧ください)

民度低下の日本に求められる「良心の教育」

女性は空気を読むのがうまい。すでに彼女たちは、自分たちの道を自ら切り開いていかなくては生きていけない、人生が充実しない、という時代の空気を肌感覚で感じ取っているのかもしれない。女子大学側がその動きを敏感に察知し、対策するのに遅れていたのではないか。

ただし、学生のニーズを鵜呑みにすると、どうしても「すぐに役立つ今どき人気の知識・技術」「エンターテインメント色が強い内容」に偏った教育になりがちである。「地味ながら一生使える叡智」に対するニーズは、学生側から生じてこない。単に顧客(在学生、受験生)の声に耳を傾けていては不満を解消するだけで、イノベーションにはつながらないという論理を忘れてはならない。

昨今、日本人の民度が落ちたと思わざるをえないほど、犯罪が増えている。有名企業もその名に恥じるような不祥事を起こし、不正行為を働いている。今こそ、大学は「良心の教育」を文理系の壁を越えて行うべきであると強く思う。

こういうと、馬の耳に念仏となる道徳論、精神論、評判の悪い教養教育を指していると思われるかもしれないが、そうではない。歴史観を踏まえた人文的知見も軽視せず、最新の科学的(学際的)な要素も取り入れた、初等・中等教育とは次元の異なる対人間、対社会、対技術に関する高度なアプローチを意味する。

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