消える"日本一のマンモス女子大"!「武庫川女子大」の共学化が映し出す歴史の因果

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2027年度から共学の武庫川大学となる武庫川女子大学(写真:けいわい/PIXTA)
日本最大規模の女子大学である武庫川女子大学(兵庫県西宮市)が、2027年度から共学化に踏み切る(附属中学校・高等学校は女子校を継続)。同大学幹部が「うちが共学になったら、ほかへの影響は甚大でしょうね」と語るように、これは激変する大学界の潮目となるだろう。
しかし、この一件を女子大学変革の象徴的現象として見るだけでは、単なる「構造不況業界論」に終始してしまう。そのような記事はすでに数多く出回っている。
本稿では前編・中編・後編の3回に分けて、かつて「女子大集積地」だった兵庫県・阪神間の激変に着目。その背景になった「ええしの子」文化から生まれた「お嬢様」と「お坊ちゃん」という社会認識の変容に言及し、リーダー、さらには事業承継者になるうえで注意すべき心得について提唱する。
中編:"アホボン"では生き残れない!日本のファミリービジネスの変容が招く「お坊ちゃん大学」の岐路
後編:ハーバードMBA修了生の4分の1が"職なし"、AI時代の大学に求められる「真正良心」の教育

(外部配信先ではハイパーリンクや画像がうまく表示されない場合があります。その際は東洋経済オンラインでご覧ください)

ダム女の学生募集停止に続く衝撃

明治以降、女性の高等教育機関として重要な役割を果たしてきた「女学校」に端を発する女子大は、1998年度にピークとなる98校まで増加した。しかし、2000年代初め頃から「女子大の凋落」が指摘され、近年では募集停止や共学化が相次ぎ、その数は25年間で73校まで減少した。2024年度には私立女子大の約7割が入学定員割れを起こし、短期大学の学生数も激減している。

首都圏や関西、名古屋といった大都市圏でも共学化や募集停止の動きが加速しており、2025年4月25日に京都ノートルダム女子大学が2026年度以降の学生募集を停止すると発表。それに追い打ちをかけるかのように6月17日には、武庫川女子大が2027年度から共学化し、武庫川大学に名称変更することが明らかになった。この結果、「女子大学消滅」はより現実味を帯びてきた。

高い進学実績で知られる付属中学・高校を持つ神戸女学院などは、人気が落ちてきている大学のイメージと乖離が大きくなり、悩みは大きいだろう。同じく、付属中学・高校が進学校として評判がいい神戸海星女子学院が、大学を募集停止したのは潔しと見る向きも少なくない。

東京の津田塾と同様に、阪神間でも神戸女学院は設立時の明治時代においてすでに女性の自立を強調していたが、良妻賢母教育を望む時代的背景に合わせて、かつての多くの私立女子大は人文学系、家政・生活科学系の学部・学科が中心になっていた。

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