"アホボン"では生き残れない!日本のファミリービジネスの変容が招く「お坊ちゃん大学」の岐路

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関西有数の「お坊ちゃん大学」として知られる甲南大学(写真:けいわい / PIXTA)
日本最大規模の女子大学である武庫川女子大学(兵庫県西宮市)が、2027年度から共学化に踏み切る(附属中学校・高等学校は女子校を継続)。同大学幹部が「うちが共学になったら、ほかへの影響は甚大でしょうね」と語るように、これは激変する大学界の潮目となるだろう。
しかし、この一件を女子大学変革の象徴的現象として見るだけでは、単なる「構造不況業界論」に終始してしまう。そのような記事はすでに数多く出回っている。
本稿では前編・中編・後編の3回に分けて、かつて「女子大集積地」だった兵庫県・阪神間の激変に着目。その背景になった「ええしの子」文化から生まれた「お嬢様」と「お坊ちゃん」という社会認識の変容に言及し、リーダー、さらには事業承継者になるうえで注意すべき心得について提唱する。
前編:消える"日本一のマンモス女子大"!「武庫川女子大」の共学化が映し出す歴史の因果
後編:ハーバードMBA修了生の4分の1が"職なし"、AI時代の大学に求められる「真正良心」の教育

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変容する日本のファミリービジネス

近年、多くの中小企業が世代交代で困難な状況に直面している。後継者不足は地域経済の活力を奪い、日本の産業基盤を揺るがしかねない喫緊の課題である。そこで近年、M&A(合併・買収)だけでなく、さらには経営者を目指す個人(サーチャー)が投資家の支援を受けて、目をつけた中小企業を買収し自ら経営するサーチファンドが注目されている。

だが、本来なら親族に継がせたいというのがファミリービジネスの本音であろう。親族内承継に関しては近年まで、男性が後継者となる傾向が強かったのは事実である。そのため、娘しかいないファミリービジネスでは婿養子が活躍した例が少なくない。スズキはその典型で、2代目以降、中興の祖と言われた鈴木修・前会長兼CEO(最高経営責任者)まで婿養子経営が続いた。

ところが近年では、娘が経営の要職で活躍し、成功を収めるケースも増えてきた。例えばエステーでは、創業者の鈴木誠一氏の娘である鈴木貴子氏が、かつて社長として経営を牽引した。現在は会長となり、引き続き重要な役割を担っている。

さらに、ファミリービジネスにおいて、社長である夫のビジネスパートナーとして、妻が経営の要職で活躍する事例も珍しくなくなってきた。その代表例がアパグループである。

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