地震で損壊したミャンマーの日本人慰霊碑、戦後80年の記憶が薄れる中、慰霊碑修復を進める必然

2025年3月28日、ミャンマー中部でマグニチュード7.7の大地震が発生しました。震源地に近いサガイン地域は、太平洋戦争におけるインパール作戦で知られるビルマ戦線で激しい戦闘が行われた舞台の1つです。
第2の都市マンダレーに隣接し、交通の要衝としても重要な位置を占めるこの地域は、とくにサガインヒルがイラワジ川の西岸を見下ろす戦略的な要点となっていました。ここでは、連合軍と日本軍の間で激しい戦闘が繰り広げられ、多くの日本兵が戦死した地としても知られています。
多くの戦死者を出したサガインヒルには、戦友会や遺族会が中心となり、地元ミャンマーの協力もあって、「日本パゴダ(仏塔)」や慰霊碑がいくつか建立されています。
損傷・崩壊など甚大な被害
これらは、いずれも日本人戦没者の慰霊を目的として建てられたものです。今回の大地震により、慰霊碑の一部が損傷を受け、「日本パゴダ」の仏塔の上部や礼拝堂が崩落するなど、甚大な被害が発生しました。
このパゴダはこれまで、日本のガイドブックでも紹介され、観光コースの一部として多くの人々が参拝に訪れてきました。慰霊のために訪れる日本人や観光客、日本企業などからの寄付によって維持されてきた経緯があります。
しかし、2021年のクーデター以降に続く内戦の影響により、この地域では外国人の立ち入りが制限され、観光客や遺族が容易に訪問できない状況が続いています。その結果、寄付金も大幅に減少しており、「日本パゴダ」の修復もいまだ目途が立っていないようでした。
地震発生から1カ月後に現地を訪問し、パゴダを管理される現地の方にお話を伺ったところ、「これまで日本人の訪問は1人もありませんでした。ぜひ多くの日本人に今の状況を伝えてください」とのメッセージをいただきました。
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