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社会はすでに変化している、「オンラインの学校が本流というだけ」/『教育ZEN問答 N高をつくった僕らが大学を始める理由』川上量生氏に聞く

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『教育ZEN問答 N高をつくった僕らが大学を始める理由』著者の川上量生氏
[著者プロフィル]川上量生(かわかみ・のぶお)/ドワンゴ顧問。1968年生まれ。91年京都大学工学部卒業。97年ドワンゴ設立。現在、同社顧問、角川ドワンゴ学園理事、KADOKAWA取締役、スタジオジブリのプロデューサー見習い。『コンテンツの秘密』『ニコニコ哲学』など著書多数。(撮影:梅谷秀司)
ニコニコ動画(ニコ動)で知られるドワンゴが日本財団と手を組み、2025年4月にZEN大学を開学した。授業はオンラインで行われ学費は年間38万円と格安だ。初年度は3380人の新入生が入学した。本書の著者は、ドワンゴ創業者でZEN大学やN高等学校(N高)設立にも関わった川上量生氏。大学の設立背景、教育業界への見方、そして大学業界の今後の展望を語った。
教育ZEN問答-N高をつくった僕らが大学を始める理由 (中公新書ラクレ 843)
『教育ZEN問答-N高をつくった僕らが大学を始める理由 (中公新書ラクレ 843)』(川上量生 著/中公新書ラクレ/968円/184ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──本書をどのような人に読んでほしいですか?

教育業界関係者に読んでほしい。この業界は少し排他的で、外部からの参入には厳しい目があると感じている。ZEN大のように民間企業が教育に参入することを、「教育への利益至上主義の持ち込み」だと見なす批判は今後も少なくないだろうと予想している。

本書は前半でN高を取り上げ、オンライン教育の実績を詳しく紹介している。ドワンゴの歩みにも触れ、ZEN大がこれまでのわれわれの活動の延長線上にあることを示した。業界関係者が抱く「金儲けだけが目的だろう」という懸念に対し、「実際は違うんです」というメッセージを伝えたい。

──N高の実績、異業種からの大学参入という2つの面で、開学前から注目を集めていました。

大学参入に際しては、さまざまな批判を受けると考えていた。そこで、まず「非常識な規模の投資をする」と決めた。「儲け主義」は的外れだとわかってもらえるように、採算度外視で投資した。

結果として、業界関係者や文部科学省に「新しいことをやろうとしている」という認識を持ってもらうことはできたのではないか。反発や嫌がらせも直接にはなかった。N高含め、「儲け第一のビジネスとは違う」と示してきたことが大きかったと考えている。

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