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「インフレ時代の資産防衛」が日本銀行を揺るがす 複利で目減りする預金価値、マネーが動く

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預金通帳と一万円札
(写真:makaron*/PIXTA)

四半世紀以上も続いたデフレ・低インフレ時代は、銀行にお金を預けておけば、たとえ金利はゼロでも預金の実質的価値は目減りしないという安心感があった。しかし今では年率3%以上のインフレが1年以上も続いており、紆余(うよ)曲折はあれどもこうした基調は今後も続き、インフレ時代になると予想する声が増えてきた。

家計はインフレ時代の資産防衛をどう行うのか。3%以上のインフレ率が恒常的だった1970〜80年代初頭には、「インフレ時代の資産防衛術」といった企画が経済メディアではもてはやされた。その当時のキーフレーズは「資産は複利で減少する」だ。

例えば、インフレ率が預金金利を2%上回った状態が続くと、複利効果により5年目には預金の実質的価値は約1割減少する。同様にインフレ率と預金金利の差が3%なら4年、4%なら3年で約1割の価値が吹き飛ぶ。1000万円の預金では、100万円を失う計算だ。そのため、家計は知恵を絞ってお金を預金から株式や債券などほかの資産へ移した。

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