「物価の権威」渡辺努教授が東大を去る前に何を語り残したのか?デフレの罪、異次元緩和の失敗、そしてお金の未来...最終講義への徹底反論①

渡辺努先生は、恩師を除き、私が最も尊敬する経済学者である。彼の最終講義では質問を受け付けてもらえるはずが時間切れでその機会がなかったので、ここで誌上論戦を挑みたい。
まず、渡辺先生の最終講義は以下の3点に要約できる(私が勝手に突っ込んだ書き方をしているところもあるが、本質は外れていないと思う)。
第1に、なぜ物価が大事か。
「デフレの罪」と日本経済の明るい未来
それは、価格というものは、経済において最も重要なものである。市場による資源配分メカニズムは価格によるものであるから、その価格設定およびその変更が妥当になされないと経済は死んでしまう。そして、日本経済においては、過去30年間、この価格メカニズムが死んでいた。だから、経済は停滞していた。これがデフレの罪である。
価格の復活、価格の復権こそが最重要であり、2022年以降、それは動き始めた。したがって、日本経済の未来は明るい。
第2に、なぜ価格が動かなくなり、その状態が続いてしまったのか。
企業が消費者に対して自社製品の価格支配力を失い、価格変更できないという状態で凍り付いてしまったからである。これは、マクロ的なデフレが生じたことにより生み出された状態で、1990年までは日本経済では見られなかった現象である。
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