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中国でアメリカドルと連動するステーブルコインが急拡大。暗号資産のドル支配に当局は金融主権の喪失や資産流出を警戒

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米ドルと連動するステーブルコインが拡大。当局は金融主権の喪失や資産流出を懸念している。

アフリカなど発展途上国でもステーブルコインが普及している (写真:PIXTA)

ステーブルコインが中国でにわかに強い関心を集めている。富裕層は資産の国外移転に策を巡らし、政府は「座視すれば金融主権を喪失しかねない」と危機感を強める。しかし暗号資産での圧倒的な「ドル支配」は揺るがず、当局の苦境は強まっている。

ステーブルコインは民間企業が発行体となる暗号資産(仮想通貨)。主要通貨に価格が連動するよう設計され、価値の変動が小さいため、インターネット上のデジタル決済手段として拡大している。

戦略的に動いているのはアメリカだ。今年7月、トランプ大統領はステーブルコイン普及を支援する「ジーニアス法」に署名。現在、世界のステーブルコインの99%が米ドルに連動しており、アメリカの金融覇権が新時代のデジタル金融でも一段と強固なものになる可能性が強まっている。

アフリカでも普及し、中国には危機感

こうした流れに中国政府は危機感を強める。今年6月、上海で開かれたフォーラムにて中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は「ステーブルコインなど新技術による決済手段が金融監督への大きな挑戦になっている」と認めた。また同じ会合で同行の周小川元総裁は「米ドル建てステーブルコインの普及は全地球的な米ドル化を促進する可能性があり、そこには問題も多い」などと懸念を示した。

中国当局が危機感を強める背景には、アフリカなどの発展途上国でステーブルコインが急速に普及している事情がある。自国通貨の信頼性が低く、金融インフラも未整備な途上国では、人々は資産防衛のために米ドル紙幣や貴金属の現物保有に頼ってきた歴史がある。

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