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「物流の風雲児」SBS社長が語る、買収成功の極意。目指すは早期に年商1兆円、今後のM&Aの方向性は?

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鎌田正彦/かまた・まさひこ 1959年生まれ。宮崎県立延岡高校を卒業後、79年に東京佐川急便(現佐川急便)へ入社し、ドライバーとして働いた後に独立。87年に関東即配(現SBSホールディングス)を設立、88年同社長(現任)(写真:尾形文繁)
荷物の管理や受発送などを一括で請け負う3PL(サードパーティー・ロジスティクス)大手、SBSホールディングス。積極的なM&A(合併・買収)で「物流の風雲児」との異名を取り、2025年12月期の売上高は4850億円(前期比8.2%増)を見込む。
近年はリコーや東芝、日本精工など大手メーカーの物流部門を相次いで取得。今年10月にはブリヂストンの子会社を傘下に収めた。拡大路線をひた走る鎌田正彦社長に、「買収成功の極意」を聞いた。

年商目標は「早期に1兆円」

――なぜメーカーの物流子会社を買うのですか。

物流部門はメーカーの中で、単なる「販管費」(コストセンター)と見なされがち。すると、親会社が設備投資を認めてくれない。成長したくても、できない。仕事の範囲は狭く、給料も上がらない。働いている人たちは大きな不満を抱いている。

私は20年以上前からこうした会社に注目し、立派に稼げる物流企業に育て上げようと心血を注いできた。04年の雪印グループに始まり、東急やJVCケンウッド、古河電工など大手メーカーの子会社を買い、すべての業績を改善した。

結果として、当社の売上高は今期5000億円ほど。03年の上場時は約200億円で、名もないベンチャーにすぎなかった。目標は早期の年商1兆円。日本通運などの業界最大手と互角に戦える力が、これから付いてくるはずだ。

――物流子会社の業績は芳しくないケースが多いです。

メーカー子会社の多くは、親会社の仕事しかしていない。だから営業活動を担う人員が少ない。まずは業務内容を分析し、パートに任せられるものを洗い出す。浮いた社員が100人ぐらい出ることもある。彼らを営業部隊に回すと、売り上げが伸びていく。

社員が従来やっていた仕事はパートに置き換わるので、オペレーションのコストは下がる。価格競争力が生まれ、どんどん受注できるようになる。そのうちに倉庫が不足するので、ドンと投資する。成長のためなら、お金はいくらでもかける。

そのスピード感が重要だ。「(倉庫や土地の取得を)やりたい」と言われたら、「どれぐらい(棚が)埋まるんだ」と聞く。説明に納得できれば、億円単位の案件でも3分でOKを出す。 とにかく社員にチャレンジさせる。失敗したら「一生懸命にやったのか」とは問うが、最終的な責任はすべて私が負う。

業績が伸びれば、社員の給料やボーナスを上げる。以前は親会社からの指示を待っていた、そんな人たちの目の色が変わる。買収先の利益を増やし、待遇を高め、また優秀な人材に来てもらう。この循環が当社のビジネスモデルだ。

――その「必勝法」をどう編み出したのですか。

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