――10月1日付で、住信SBIネット銀行がNTTドコモの子会社となりました。どのようなメリットを見込んでいますか。
住信SBIネット銀行は、20年ほど前にSBIグループと住友信託がタイアップし、ネット銀行の先駆けとしてスタートした。今回NTTドコモがSBIから株式を取得した結果、当社とドコモがタイアップした会社に生まれ変わる。
ドコモの既存の顧客群は日本人口の縮図のような層で、三井住友信託銀行がターゲットとしている方々が多数含まれる。このネット銀行チャネルを使いながら、多くの方に利便性の高いサービスを提供するための基盤ができた。
これまで全くターゲットにしてこなかったお客様もたくさんいるため、そういった方々とのビジネスも住信SBIネット銀行の発展に寄与するだろう。
手数料ビジネスでも金利上昇はポジティブ
――2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除して以降、「金利ある世界」は信託銀行ビジネスにどのような影響をもたらしていますか。
金利が上がると、貸出金と預金それぞれの金利が上昇するが、預金金利と比べて貸出金利の上がり幅の方が大きく、利ざやが拡大する。その結果、金利が上がれば銀行は儲かり、収益が好調になる。その部分はメガバンクと同じだ。
一方で当社は資産運用で154兆円、資産管理で295兆円を抱えている。この資産運用・資産管理ビジネスは時価に手数料率をかけて手数料を得る構造だ。手数料収入は、ゼロ金利やマイナス金利の時代でも収益源となり、金利がない時代の強みだった。
金利が上がってくると、投資家はおのずと期待リターンを高く設定したいと考えるようになり、ポートフォリオを見直す。期待リターンが上がると、それが何年か積み重なることで時価が上がっていく。金利の上昇が結果として時価を押し上げるため、手数料ビジネスにおいても金利の上昇は極めてポジティブといえる。
――金利が上がる一方で物価の上昇も続いています。
物価が上昇すると、不動産や株といった実物資産は値上がりする。値上がりすると時価が上がるため、時価に手数料率をかける資産運用の分野はもちろん、不動産の売買も取引価格に手数料率をかける構造なので、時価が上がった分だけ手数料が増える。
――その他の証券代行や相続などのビジネスにも影響があるのでしょうか。
証券代行の手数料は株式の取引や株主の数の増加によって決まる。例えば、最近は新NISAで個人の株主数が増えているため、証券代行の手数料は増えている。これは株主数が増えていることによるものだ。資本市場が活性化すれば、当社にとってポジティブな構造だ。
相続ビジネスでは、相続に関するお悩み相談から遺言作成、信託のお預かりといったビジネスを通じて手数料を頂いている。団塊の世代の方々が75歳になってきており、相続に関する悩みを持つ方の数がこれまでより大きく増えている。この状況は、これから10年、15年続くと予想される。多くの観点で追い風が吹いている。
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