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軍や党高官の人事が不安定でも揺らがない中国・習近平の権力体制。それは企業の社長による人事介入と部下たちの足の引っ張り合いのよう

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※本記事は2025年10月25日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。
軍事パレードに臨む中国の習近平
軍の高官人事で不安定化が指摘されるが、それは習近平の権威や独裁体制に影響するわけではなさそうだ(写真:Lintao Zhang/Getty Image)
とある架空の中国研究・分析担当者の一日と彼が執筆するレポートを通して、習近平体制の権力集中や動揺、4期目続投の見通しについて解説する。(敬称略。本コラムは後編です。習近平失脚説の問題などを指摘した先週配信の前編はこちら

私は大手総合商社、星紅物産のシンクタンクで主席研究員を務めている。専門は中国情勢の分析で、気づけば40年近く中国をウォッチし続けてきた。

10月も下旬になると肌寒くなってきた。今朝は最寄り駅で電車を降りて会社に向かう間に強い秋風を浴びて身体が冷えたから、ランチはあたたかいうどんを食べた。

先週出した習近平失脚説の問題を指摘したレポートは社内でなかなか好評だった。ランチを食べていたら、役員が「面白かった」と声をかけてくれた。少しでも失脚説などという根拠不明なネット上や動画サイトではびこるいい加減な話を信じる人が減れば嬉しい。

習近平は軍での個人集権を強化できた

まあ、1カ月も経てば読んだレポートの内容なんか忘れて、またも私に習近平失脚説について問い合わせてくる幹部陣が出てくるだろうが。さて、そんな人たちのためにも今日は習近平の集権体制や4期目が始まる2027年についての見通しでもレポートに書こう。いまだに2027年に台湾侵攻が起きると考える人もいるというから、丁寧にレポートを書かねばならないな。

〈レポートの下書き〉
(1)「中央軍事委員会主席責任制」の強化による個人集権
2012年に中央軍事委員会主席に就任して以来、習近平は、規則や手続きの制改定を通じて中央軍事委員会主席責任制(以下、主席責任制)の制度的拡充に努めた。
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