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絶対的な統治が揺らいで軍に疑心暗鬼な習近平 一番恐れているのは一般市民の不満の高まり

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絶対的存在の習近平総書記だが、軍との関係が荒れ続け、政治基盤の動揺が顕在化している。

北京にある軍の博物館では習近平と軍の関係が強調されていたが、習自身は軍を信用し切れていないようだ (写真:Gilles Sabrié/The New York Times)

小隊長級以上のすべての軍人は、海外にいる直系家族を2025年2月1日までに帰国させよ──。国務院と中央軍事委員会の名義で、2024年12月7日付で出されたという怪文書が、ネット上で出回っている。軍関連のすべての組織に帰国計画の策定が求められ、家族が従わなければ該当者は即停職、関係者も軍事法廷に差し出されるという。

中国の当局者は自身の子どもの海外留学に熱心だ。だが、なぜ軍にだけこれほど厳しい命令が下るのか。文書が本物なら可能性は2つ。習近平政権が、①近々、軍事攻撃を発動する予定か、②軍の忠誠を疑い、軍人の状況を徹底的に調べている、ということだろう。

他方、文書には偽物説もある。その場合、誰が何のためにこれを流したかが謎だ。このような文書は軍人たちの不安感を高める。もしや政権に不満を抱える軍内勢力が、共鳴者の拡大を狙って偽情報を広めたのかもしれない。文書の真偽はともかく、②に沿った政治闘争発生説が有力だ。

党への徹底忠誠を要求、指揮系統貫徹の前提覆す

習政権は対外的な強硬姿勢を維持している。台湾の頼清徳総統が12月1日、就任後初の外遊でハワイに立ち寄ったことに反発し、習は4日、4月に新設した情報支援部隊を視察。戦争におけるサイバー情報システムの重要性を強調した。中国は7日以降、台湾海峡や西太平洋に軍と海警局の艦船約100隻を展開し、台湾にまたも物理的な脅しをかけた。

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