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中国軍制服組トップ拘束の衝撃。親友すら切り捨てる習近平の覚悟と、反腐敗の嵐の先にある「2027年以降」のシナリオ

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粛正された張又侠
演台で宣誓している張又侠氏と後方からそれを斜に構えて眺める習近平氏。写真は2023年の全国人民代表大会(写真:Getty Images)

2026年1月24日(日本時間)、中国国防部は、中国軍の制服組トップで中央軍事委員会副主席の張又俠と、同じく中央軍事委員会委員を務める劉振立(聯合参謀部参謀長)の2名を重大な規律違反の疑いなどで拘束したことを発表した(以下、「張又俠事件」)。

この結果、22年10月に7名体制(主席:習近平、副主席:張又俠、何衛東、その他委員:劉振立・聯合参謀部参謀長、苗華・政治工作部主任、李尚福・国防部長、張昇民・中央軍委規律検査委員会書記)で発足した20期中央軍事委員会は、トップの習近平と張昇民(25年10月に中央軍委副主席に昇格)の2名だけとなった。

自分のお気に入りの人物で固めた20期中央軍事委員会は、幼児が自分の作った砂山を無造作に壊すように、ボスである習近平自身の手で事実上解体された。

張又俠による習近平への挑戦はあったのか?

張又俠は習近平と親子2代にわたる交流があり、もっとも親密な盟友であった。それなのになぜ失脚したのか。

両者の対立に起因する習による張へのカウンタークーデター(個人確執説)、軍内での習近平派と張又俠派の主導権争い(派閥闘争説)、台湾侵攻をめぐる積極・消極の路線対立(台湾有事説)、さらには張又俠による外国への軍事機密の漏洩(外国通謀説)など、さまざまな見方や臆測が飛び交っている。真相はもちろん不明だが、筆者は、それらのすべてについて信憑性は低いと考える。

張又俠の失脚理由をめぐる多くの説明は、軍の機関紙(『解放軍報』26年1月24日付社説)に掲載された張又俠への告発文の次の一節、張又俠らは「中央軍事委員会主席責任制を深刻に踏みにじり破壊した」の言葉の解釈をめぐり議論を繰り広げている。しかし、筆者が本連載において10月でも指摘したとおり、軍内での習近平の権力と権限は、「中央軍事委員会主席責任制」の強化のスローガンのもと、12年以来各種の規則や制度が設けられ、およそ10年の時間を経て22年までには、文字どおり個人独裁のレベルに達していた。

その結果、第2期(2017~22年)と第3期(2022年~現在)の政権成立の直後、軍内で発出された「主席責任制」に関する2つの重要文書(「中央軍事委員会主席責任制を全面的かつ深く掘り下げて貫徹することに関する意見」、「中央軍事委員会主席責任制の着実な履行の深化に関する若干の意見」)は、習近平体制下での党軍関係の基本として、「習主席の指示に従い、習主席に責任を負い、習主席を安心させる」ことを要求している。すなわち軍の公式文書は、今日の中国軍が〈習近平個人の軍隊〉であることを明記している。

言い換えれば、習近平に少しでも疑念や不安を抱かせる言動は、事物の客観的な軽重のいかんにかかわらず、すべて主席責任制への違反であり重大な規律違反なのである。外部の観察者からみればどのような些細な事柄でも、習近平個人の主観において問題と認識されれば、即アウトである。

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