また、反腐敗の「第一の波」の主な目的は、周永康(元・党中央政治局常務委員)や郭伯雄(元・党中央政治局委員、元・中央軍事委員会副主席)、徐才厚(同前)らの追い落としに代表されるように、習近平の指導力強化だった。対して近年のそれは、純然たる汚職追及の性格が強い。背景には、2020~22年のゼロコロナ政策による莫大な公的資金の投入とそれに伴う各種の不正の横行や、軍内ではとくに核戦力の優先的強化をめぐるロケット軍幹部の汚職などが挙げられる。

とりわけ20回党大会開催(表1・①、以下の丸数字はすべて表1に対応)の翌年、23年に明るみになった李尚福(元・中央軍事委員会委員、元・国防部長、元・中央軍事委員会装備発展部部長)の汚職関与とその摘発こそが、今回の張又俠事件にいたる直接的なきっかけになったと思われる(②)。李尚福事件の調査の過程で、何衛東、苗華、張又侠などの腐敗への関与も判明したのであろう。
事実、李尚福への処分を発表した公式報道は、「不正な利益を得るため、他人に金銭を与えた贈賄罪の嫌疑」があること、「捜査の過程で李尚福の重大な規律・法令違反に関するそのほかの手がかりも発見された」ことを記している(③、24年6月27日、新華社報道)。李尚福の前任者として、同じく兵器の調達などを担う装備部門のトップを務めた張又侠が汚職に手を染めていない――李尚福から賄賂を受け取っていない――とは考えにくい。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら