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トランプ色を強める西バルカンと欧州の亀裂/セルビアの「トランプタワー」は頓挫も、続々と「トランプ一族」の投資を受け入れる西バルカンの狙い

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アルバニアの首都ティラナにあるスカンデルベルグ広場のスカンデルベルグ・ビル(右)。アルバニアのエディ・ラマ首相はドナルド・トランプ氏を「誰にとっても良い」と称賛し、EUには批判的な姿勢を見せている(写真:Bloomberg)

ドナルド・トランプ大統領が再登板して以降、欧米の関係は急速に悪化している。北大西洋条約機構(NATO)のコスト負担をめぐる問題、ウクライナや中東の和平に関する問題、グリーンランド領有問題、一方的な輸入関税の引き上げなど、枚挙にいとまがない。欧米の関係は“政冷経熱”から“政冷経冷”へと急進する勢いである。

"トランプサークル”が続々と西バルカンに投資

他方で、欧州連合(EU)にとってはその裏庭ともいえる西バルカン(EUにいまだ加盟していないバルカン半島の国々)において、いわゆる“トランプサークル”による投資案件が着々と進んでいる興味深い事実がある。象徴的な案件は、セルビアの首都ベオグラードにおける複合商業施設、その名も「トランプタワー・ベオグラード」の開発計画である。

このトランプタワー・ベオグラードは、1999年のコソボ紛争時にNATOによる空爆で損壊した、旧ユーゴスラビア軍の本部跡地に建てられるという点で物議を醸した。セルビア国民にとって、当時のNATOによる空爆は国辱的な行為であり、ゆえに旧ユーゴ軍の本部跡地は政府によって保護指定を受けていた。それを反故にする計画だった。

欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行うエコノミストによるリポート

アレクサンダル・ヴチッチ大統領が率いる現在の保守右派政権は、一種のプラグマティズムを有している。それは使えるものは何でも使うという姿勢だ。コソボ問題をめぐり冷淡な態度を取り続けるEUにあてつけるかのように、ロシアのみならず中国も使い、そしてアメリカも使う。そして多方面から利益を誘導し、国を発展させていく戦略である。

しかし、トランプタワー・ベオグラードの建設は結局のところ、ご破算となった。市民による大規模な抗議活動が行われるとともに、現職閣僚らが汚職で逮捕されたため、開発を進めたトランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が身を引いたのだ。それでもヴチッチ政権がトランプ大統領への接近を優先したという点は、極めて興味深い事実だ。

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