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「良い外国人」と「悪い外国人」…AfD系首長が誕生した街で支持者が語る二分法、「ナチと呼ばれるが、現状に飽き飽きしているだけ」と若者【第2回】

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ドイツ・ピルナ市の市庁舎広場に設置されたクリスマスマーケット(筆者撮影、以下同じ)

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2025年7月の参議院選挙で参政党が躍進し、日本でも右派ポピュリズム現象が現実のものとなった。ドイツではすでに13年に結党された「ドイツのための選択肢(AfD)」の党勢拡大が続いており、AfDとどう対峙するかが政治の大きな課題になっている。
近年、旧東ドイツの地方自治体で、AfD系の首長の誕生が相次いでいる。そうした1郡長、3市町村長のうち、ザクセン州ピルナ市とテューリンゲン州ゾネベルク市を25年12月に訪ね、拡大の背景を探った。
「右派ポピュリズムの牙城をゆく」ではピルナ市のケバブ料理店や語学学校で話を聞き、AfD党支部に突撃した第1回に続き、街の人々に話を聞いてゆく。

ピルナの市庁舎前に開設されたクリスマスマーケットを回っていると、マーケットの片隅に黒ずくめの服装の若者10人ほどの集団が、酒をラッパ飲みしたり、タバコをふかしたりしてたたずんでいるのに気づいた。髪は丸刈りや赤く染めた長髪とさまざまだ。男女はだいたい半々くらい。高学歴の青年たちではない。

右翼なのか、左翼なのか、あるいは素行の悪い若者たちがたむろしているだけなのか。話しかけると、1人の若者が雄弁に話し始めた。

ユリアン・バートさん(17歳)。14歳のころから「ドイツのための選択肢(AfD)」のSNSでの発信を閲覧するようになり、支持するようになった。4カ月前にAfDに入党し、11月終わり、新しいAfD青年組織「ドイツ世代」の結成大会に出席した。9カ月前から菓子メーカーの販売員として働いている。

バートさんの話の内容は、AfDの主張の受け売りではあるが、政治に対する熱意は十分に感じることができた。彼の主張を要約すれば――。

「働いている外国人は歓迎だが、多くはそうではない」

「企業がどんどん中国に移転している。ドイツ国内ではコスト高だからだ。AfDはそれを止めたい。電気料金が高騰している。環境税は廃止する。移民は住居でもなんでも受け取っている。ドイツ国民を優先すべきだ。(住民投票制度がある)スイスを手本に国民が決定すべきだ」

「ウクライナ戦争はわれわれの戦争ではない。しかし、政府は支援しなければならないという。26年にはまた武器、財政支援をする。ドイツ国民はもう飽き飽きしている」

「ドイツではドイツ国旗を持っていただけで、ナチと言われる。知り合いの女性は、街頭での(外国人による)暴力が怖くて外出できないと言っていた」

外国人政策について聞くと、答えは先に会ったAfDザクセン・スイス支部副会計責任者のシュテファンさん(第1回)と同様だった。

「メディアではAfDはすべての外国人を追い出せと言っている、と報じられるがそれは嘘だ。ドイツの基礎を拒否する人、働かない外国人を送還したいと言っているだけ。ドイツ語を学び、文化を尊重し、働いている外国人は歓迎だが、多くはそうではない」

彼の主張は青年らしい一本気にあふれ、それが逆に危うさを感じさせた。ただ、「左翼はわれわれをナチと呼ぶが、われわれはナチではない。若者は単に現状に飽き飽きしているだけだ」と語るように、旧東ドイツの若者の多くに、やり場のない怒りや不安がわだかまっていることは想像できた。

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