旧東ドイツのルサンチマンをかき立てた難民危機…「働いている外国人は問題ない」右派ポピュリズムAfD系首長の街で人々が語ったこと【第1回】

2025年7月の参議院選挙で参政党が躍進し、日本でも右派ポピュリズム現象が現実のものとなった。ドイツではすでに13年に結党された「ドイツのための選択肢(AfD)」の党勢拡大が続いており、AfDとどう対峙するかが政治の大きな課題になっている。
衆議院選挙(1月27日公示、2月8日投開票)を目前にして、先行するドイツの現状は、日本政治の今後を占う意味で参考になるだろう。
近年、旧東ドイツの地方自治体で、AfD系の首長の誕生が相次いでいる(参照:ドイツ連立政権を「不法移民」強硬策に駆り立てる存在とは?)。そうした1郡長、3市町村長のうち、ザクセン州ピルナ市とテューリンゲン州ゾネベルク市を25年12月に訪ね、AfD党員や一般市民、外国人住民に話を聞き、その拡大の背景を探った。【全4回】

AfD系の市長の街のケバブ食堂
ピルナは、ツヴィンガ宮殿などで知られるザクセン州の州都ドレスデンから、電車で南東方向に30分、人口4万人の小さな町だ。チェコとの国境の国立公園「ザクセン・スイス」への玄関口にあたり、旧市街の城や歴史的建造物などが観光名所で、ハイキング客でもにぎわう。
ピルナ駅に着いたのは午後6時半だが、すでに日はとっぷりと暮れていた。駅前には殺風景なバスステーションが広がっていて、ホテルは道を隔てた向かい側にあった。夕食の場を探しに、夜の街を旧市街の方向に歩いていくと、トルコ料理のケバブ食堂が開いていた。
ケバブ食堂が当たり前のように営業しているのはちょっと意外だった。市民の間に排外主義が高まり、商売がやりにくくなってはいないのか。
というのも、ピルナでは23年12月17日に行われた選挙で、自治体レベルでは、テューリンゲン州ゾネベルク市に次いでAfD系の3番目の首長が誕生したからだ。ティム・ロホナー氏は無所属だが、AfDの支持を得て当選した。
選挙直前に憲法擁護庁(日本の公安調査庁に当たる)が、ザクセン州のAfDを「確実に極右的」と位置づけて監視を強化した。それでもAfD系の市長が誕生したことに衝撃が走った。
ロホナー市長にはインタビューの予定が取れていたが前々日になって、キャンセルするとのメールが届いた。他にはっきりした取材の当てもないまま着いたピルナの街で、最初に目に入ったのがケバブ食堂だった。



















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