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ドイツ連立政権を「不法移民」強硬策に駆り立てる存在とは?EU規則違反も辞さず、難民申請者を国境で追い返す…それでも衰えない右派AfDへの支持

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3月に開かれた極右活動家によるデモ(写真:Omer Messinger/Getty Images)

移民・難民の受け入れ国のイメージが強かったドイツの外国人政策は、今大きく転換している。今年5月に発足したフリードリヒ・メルツ政権は、オラフ・ショルツ政権による不法移民対策をいっそう強化し、司法判断に逆らってまで、不法入国者の規制厳格化を貫こうとしている。

今年2月23日に行われたドイツ連邦議会(下院)選挙の結果を受けて発足したメルツ政権は、中道保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が主導する、中道左派の社会民主党(SPD)との連立政権で、5月5日に政策の方針を定めた連立協定を公表した。

方針転換したのは左派リベラルの前連立政権

2024年9月19日の記事「ドイツが転向を迫られた『移民難民問題』の深刻」で指摘したように、ショルツ前政権は、SPD、緑の党、自由民主党(FDP)の3党連立の左派リベラル政権だったが、不法入国者の制限や不法残留者の送還促進にかじを切った。

ドイツは欧州連合(EU)圏内の国境検問を廃止するシェンゲン条約の加盟国だが、ショルツ前政権は不法移民対策として、ポーランド、チェコ、スイスで国境検問を開始するとともに、2024年1月18日には、「送還改善法」を成立させ、送還に際しての警察の権限を拡大するなど送還促進政策も開始した。

今年5月6日に発足したメルツ政権の連立協定には、こうした前政権の外国人政策をさらに強化し、従来の移民・難民に寛容なドイツのイメージを覆すほどの強硬な外国人政策が並んだ。

次ページ「アメの政策」も引き継いだが、中心は「ムチの政策」
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