贖罪で移民を受け入れたドイツが直面する苦境 中道を標榜するが、過激なポピュリズムに向かう人も
ナチスへの反省から生まれた政党制
各州に自治権を持たせる連邦制を採用している国は、アメリカとカナダのほかに、ロシア、オーストラリア、スイス、インドなどがあります。ドイツも連邦制ですが、領邦国家の伝統があるドイツでは、州政府の権限が大きく強いのが特徴です。
私の見たところその理由は、ドイツにとってナチスへの反省は非常に大きく、国全体的に影響を及ぼしているためでしょう。権力を一つに集約して巨大化させてはいけない――中央集権的な権力を徹頭徹尾、避けているのです。
ドイツでは法律により、ナチスを連想させるような言動は厳しく規制しています。ナチス式敬礼が罪に問われるニュースを、見たことがある人もいると思います。
さらにドイツ連邦共和国基本法、すなわち実質的な憲法の21条には、「自由と民主主義に反する、或いは国の存亡を脅かす政党は違憲」という旨が制定されています。
日本国憲法には「政党」というものが明示的に定義されていませんが、ドイツではちゃんと規定されているのです。政治活動の自由を制限することは、人権の見地からいえばそぐわないものです。
しかし、だからと言って「表現の自由だ、言論の自由だ」となんでもかんでも許していたら、再び国が暴走機関車に繋がれてしまうかもしれない……。そんな深い懸念が表れています。
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