ドイツ次期政権は躍進した「右派AfD」抜きで成り立つのか?現地で各党を直撃!右派を避けつつ移民対策を取り込むアンビバレントな舵取りの行方

2月23日に行われたドイツの連邦議会(下院)選挙では右派ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が躍進し、衝撃を与えた。新政権はキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)との間の「大連立」(かつて両党は保革の2大政党だった)政権となることがほぼ確実で、フリードリヒ・メルツCDU党首が新首相に就任する。
各党の議員や政党関係者は、選挙結果や今後の見通しをどう見ているのか、首都ベルリンで取材した。
大敗し落胆するSPD候補の選挙事務所
投票は午後6時に締め切られ、それと同時にテレビ局が報じる開票速報を、現ショルツ首相が率いる社会民主党(SPD)のミヒャエル・ミュラー議員(60歳、元ベルリン市長)の事務所で聞いた。指定された午後5時半に、ベルリンの中心街クーダム近くにある事務所に行くと、すでに多くの地元の支持者が集まり、ビールを飲みながら政治談議に余念がなかった。
会場に設置されたモニターに映されていた公共放送ZDFの選挙特別番組で、午後6時の投票締め切りと同時に選挙結果が報じられた。

SPDの得票率が前回2021年選挙から9.2ポイント減の16.5%と報じられると、会場からはため息が漏れた。ミュラー氏自身も落選の可能性が高まった。

あいさつに立ったミュラー氏は落胆を隠せず、「非常に苦い、壊滅的な晩だ。州によってはSPDの議員がほとんどいないところが生まれたことは特に問題だ。他方、AfDは20%を超える得票。旧東ドイツの州では35%のところもある」と強い危機感を語った。
会場の片隅でミュラー氏は筆者のインタビューに答えた。「(第1党になった)CDU・CSU主導の政権作りが進むが、SPDが責任を負うことを確信している」と語り、CDU・CSUとSPDの大連立を前提に政局が進んでいくとの見通しを語った。
4期続いたアンゲラ・メルケル政権(CDU、2005~2021年)で、3期が「大連立」政権だったので、SPDとしても違和感は少ないようだ。
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