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中国でいよいよ育児手当を始めるが、少子化対策としては不十分。2100年までに人口半減予測、需要減少の悪影響も出始めた

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全国ベースで初の育児手当導入。加速する少子化で需要減少の影響が出始めている。

少子化がますます深刻になる中、中国政府は重い腰をあげて現金支給を決めた (写真:Gilles Sabrie/The New York Times)

7月28日、中国政府は、3歳以下の子どもに対する育児手当を毎年3600元(日本円で約7万4000円)、月当たり300元支給すると発表した。政府によると、適用対象の子どもは2000万人程度である。

2025年については900億元の暫定予算を確保し、9割を中央政府が負担する。少子化が急速に進む中国において、これまでも地方政府レベルでは、育児手当が支給された例もあるが、全国ベースでの実施は初となる。

中国で中央政府が全国統一の給付金を支給することは、これまでまれであった。新型コロナが蔓延した際、世界の多くの国が国民に現金を給付したが、中国政府は行わなかった。一度、現金支給に踏み込むと、国民の要求がエスカレートし歯止めが効かなくなることを懸念していたとみられる。

「ばらまき」に慎重だった中国の中央政府

中国政府には中央財政の健全性確保へのこだわりが強い。ばらまき的な国民への現金給付を中央で負担することには慎重だった。

その意味で、今回、中央負担で国民に手当を支給するのは、政府にとっては「ルビコン川」を渡ったといえる。中国の地方財政は、年々厳しさを増し、しかも状況は各地で大きく異なる。中央政府が大半の資金を負担しての育児手当が必要と考えたのだろう。

7月末に開かれた共産党中央政治局会議は、経済運営の中でもとりわけ民生の保障を強調した。長引く不景気で中低所得者層の生活が苦しくなっている中、国民生活の支援に直接つながる政策が重視されている。

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