〈インタビュー〉国際環境NGOマーケット・フォースのCEOが指摘、「気候変動リスク」への意識や企業価値毀損の可能性について理解がまだ不十分
――今年はメガバンク3行や三菱商事や三井物産、住友商事、中部電力の7社に対して株主提案を行いました。意義についてどう考えていますか。
日本のメガバンク3行は、世界的に見てもとくにLNG(液化天然ガス)の分野で世界最大級の融資を行っている。
JERA(東京電力ホールディングスと中部電力の合弁で火力発電大手)もLNG関連事業の拡張を行っている。親会社である中部電力や東京電力グループがしっかりとガバナンスを効かせて新たな拡張プロジェクトを行わせないことが重要になると思う。各総合商社も化石燃料事業に関与している。
今年は7社に対して監査役に関する株主提案を行った。これまでとは異なる種類の株主提案だ。こうした場合、どうしても投資家に意図などを説明するのに時間がかかる。もう少しじっくりと時間をかけて説明することが重要だと感じた。
他国で行っている事業に注目
――監査役に関する提案とは、気候関連財務リスクに対するリスク管理が適切に行われているか、監査報告書に情報開示を行うというものですね。メガバンクには昨年同様、「顧客の気候変動移行計画の評価に関する情報開示」を求める提案をしました。
各行の取り組みはほぼ進捗を見せていないのに、株主提案に対する賛成率は下がっている。そうした株主の投票行動についても分析を進めているところだ。
一方で、成果としては賛成率だけでなく各企業が実質的にどう変わったかを見ている。例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループは債券・株式・シンジケートローンの引き受け先からの排出量(ファシリテイテッド・エミッション)をカウントするようになった。
私たちが注目しているのは、日本企業が海外でどのような役割を果たしているのかという点。つまり、LNGなど化石燃料に過度に依存した事業を他国で行うことだ。日本企業として脱炭素にどのようにコミットしているのかを問い続けることが重要だと考えている。




















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