進化する脱炭素株主提案、投資家の賛同に手応え 提案者のマーケット・フォースCEOに聞く
2024年の3メガバンクおよび中部電力の株主総会で、気候変動問題に関する株主提案を提出した国際環境NGOマーケット・フォース。CEOのウィル・ヴァン・デ・ポル氏がインタビュー取材に応じた。
※本記事は2024年7月26日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。
――3メガバンクおよび日本最大の発電企業JERAの大株主である中部電力に株主提案をしました。賛成比率18~26%という結果をどのように受け止めていますか。
高い支持を得られたと考えている。気候変動関連の財務リスク管理には、取締役会が最終的な責任を負う。このことに関する投資家の大きな不満を反映した結果だと言える。
気候変動リスクに対する株主のエクスポージャーを最小化するためには、企業の方針と活動を、気候変動に関する科学や目標に一致させることが不可欠だ。
3メガバンクおよび中部電力は、自社の事業計画を、科学的根拠に基づく温室効果ガス削減の「1.5度パスウェイ(経路)」にすみやかに整合させなければならない。これは、世界的な気候目標と矛盾する、石油・ガスプロジェクトへの新規の資金提供や開発を行わないことを意味している。
日本やアジアでの取り組みに力点
――マーケット・フォースの活動内容についてお聞きします。オーストラリアに本拠を置きつつ、アジアや日本での取り組みに力を入れている理由は?
マーケット・フォースは化石燃料の生産大国であるオーストラリアで2013年に設立された。オーストラリアでは設立当初から、化石燃料企業のみならず、銀行を含めた金融機関へも脱炭素化へ向かうよう、働きかけを続けてきた。他方、化石燃料を輸入するケースが多い東南アジアや南アジアでは地域住民とも協力し、そうした国の企業へ石炭のみならず、石油やガス依存からの脱却を求めてきた。
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