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トランプ大統領のイラン爆撃で砕け散る「戦後秩序」/もはや「西側」という概念は崩壊した

イラン軍事作戦について国民に向け演説するトランプ大統領(写真:Carlos Barria/Bloomberg)

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は多くの有力者の論評・分析を配信しています。「グローバルアイ」では、主に同シンジケートのコラムの中から厳選して翻訳・配信しています。
何世紀にもわたり地理的な地域以上の意味をまとってきた「西洋」、あるいは「西側」という言葉は、第2次世界大戦の終結以降、安全保障的な色合いを強めていった。1940年代半ばからベルリンの壁が崩壊するまでの間、欧州とその同盟国は自らを単に理想を共有するだけではなく、ソ連に対抗する国々と位置づけることが多かった。
米大統領ドナルド・トランプは、歴史と世界情勢に関する数多くのばかげた発言の中で、欧州連合(EU)は米国から「だまし取る」ために設立されたと主張しているが、事実はその逆だ。
国際秩序の解体に邁進
経済と政治の大規模な統合へと欧州の背中を押したのは米国であり、それが欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)、ひいては欧州単一市場の設立につながった。49年にはソ連の拡張主義から欧州を守る目的で北大西洋条約機構(NATO)が設立された。米国、そして統合を深める欧州が手を携えることで、私たちが現在「西側」と呼んでいるもの、すなわち民主的な価値観で結束し多国間協力に強くコミットする国家集団の土台が築かれたわけである。
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