続々買われる産業団地や工場跡地…国内製造業衰えてデータセンター栄える? 建設ラッシュが浮き彫りにする“外資依存”の陥穽
工場などが撤退した後の土地を、即座にDCへと転換する動きも顕著だ。
エンジン認証不正問題を起こした日野自動車は2023年に東京都日野市内の工場敷地を一部売却し、取得した三井不動産がDCの建設を計画する。シンガポールに本社を置くプリンストン・デジタル・グループは今年4月、経営破綻した自動車部品大手、マレリホールディングスの本社ビル跡地(さいたま市)を活用し、AI対応のDCを稼働させた。
とりわけ大きな転換になるのが、大阪・堺にあるシャープの液晶パネル工場だ。2024年に生産を停止した工場跡地を、通信大手ソフトバンクとKDDIが敷地を分け合うような形で取得し、両社ともにAI向けDCとして整備する予定だ。国内の2大キャリアが背中合わせで、AIのインフラ基盤を展開していく形になる。ある国内DC企業関係者は「種類にもよるが、電気設備があり、送電もそれなりに来る工場はDCを整備したい事業者にとって利点が大きい」と話す。
国内の産業基盤弱体化につながる恐れ
日野自動車、マレリ、シャープ――。近年苦境に陥った国内メーカーが手放した場所がDCに次々置き換わる状況は、「国内製造業衰えてデータセンター栄える」とでも呼ぶべき構図にも映る。足元では日産自動車の追浜(おっぱま)工場の閉鎖が取り沙汰されているが、「どうなるか目を付けているDC事業者は多いと思う」(先述の関係者)。
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