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AIサーバー向けガラスで稼ぐ日東紡のニッチ戦略 「景気後退を恐れず投資すると決めた人間が勝つ」

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東証プライム上場のガラス繊維メーカー、日東紡が手がける「スペシャルガラス」の販売が絶好調だ。生成AIの爆発的な普及とデータセンター市場の急拡大に伴いAIサーバー向けの需要が旺盛で、同製品の今2025年3月期の売上高は2016年3月期の5倍以上に伸びている。飛躍の背景や今後の展望を多田弘行社長に聞いた。

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多田 弘行(ただ・ひろゆき)/日東紡 社長。1961年7月17日生まれ。兵庫県出身。1985年、同志社大学経済学部卒業、当社入社。繊維事業部門長、日東紡アドバンテックス社長などを経て2024年4月から現職(撮影:今 祥雄)

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かつて「黒子」だったデータセンターは、AIの進化で今や一国の安全保障をも左右する重要インフラとなっている。この熱狂はバブルか、リアルか。本特集ではその深層を追った。

※有料会員限定のインタビュー記事です

――日東紡のスペシャルガラスは他社製品と何が違うのでしょうか。

われわれのスペシャルガラスは大きく分けて2種類ある。1つは電気を通しやすい低誘電特性を持ち、高速・大容量通信を支える「NEガラス」だ。もう1つは低熱膨張性に優れた「Tガラス」で、熱を加えても反りや歪みが極めて発生しにくい。

NEガラスは台湾や中国のメーカーも手がけているが、1998年に発売した日東紡は生産性の高さに一日の長がある。一方、Tガラスは技術的なハードルが高く、スペックイン(自社製品を顧客に提案)できている企業は当社以外にはほとんどない。

――NEガラスは発売から30年近く経ちました。

発売した当時は高速通信の必要性が乏しく、それほど売れなかった。2017年ごろからようやく需要が増え始め、生成AI「ChatGPT」が普及した2023年春ごろからAIサーバー向けの注文が急増。Tガラスの販売も一気に伸びた。AIがこれほど普及するとは予想していなかったが、われわれの素材が必要とされる時代がいつか来ると信じていた。

――ただ、足元ではスペシャルガラスの需要に供給が追いついていません。

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