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JX金属「先端素材で営業利益2000億円」計画の核心 林社長「技術立脚型の企業へ大きく舵を切る」

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3月19日に東証に株式上場予定のJX金属。上場後に描く成長戦略を林陽一社長に聞いた。

JX金属の林社長
JX金属の林社長は、先端素材を軸足とする成長に大きく舵を切るためには「独立した体制」が望ましいと判断したと語った(撮影:尾形文繁)

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東京証券取引所プライム市場への上場承認が下りたJX金属。上場を機に事業構造を転換し、足元で900億円台の営業利益を2040年には2500億円へと拡大する計画だ。その道筋をどう描いているのか。林陽一社長を直撃した。

――親会社のENEOSホールディングス(エネオスHD)が株式上場している中、JX金属として上場する狙いを教えてください。

当社は資源・製錬に始まって下流まで展開してきた企業だが、これからは大きく舵を切って技術立脚型の企業として下流の先端素材で成長していく。技術立脚型の専門性の高い経営判断をしていくためには、より独立した体制が望ましい。

上場を目指すきっかけとなったのが2019年に発表した長期ビジョン。2040年をにらんで「どんな会社を目指すのか」「成長の源泉はどこにあるか」を、将来を担う若手を中心に議論してもらった。その中で先端素材の分野がいちばん成長可能性が高いという結論になった。

資源・製錬は装置産業の要素が強い。そういう事業は一度の失敗が大きな損失に直結する。一方で下流の先端素材に行くほど技術立脚型になり、専門性を持った判断が必要になってくる。失敗をもいとわないチャレンジをする必要もある。おのずから経営の判断基準が異なってくる。

石油業界の企業は、大きな利益を安定して出し利益還元していくことを株主に期待されている。当社としては、それとは別の視点を持った株主とともに成長していこうと上場を目指すことになった。

JX金属の上流から下流

シナジーがあまりなかった

――エネオスHDからすると成長の核を失うことになるのでは。

当社が成長のコアと位置づけた先端素材が彼らのビジョンに入ってくるのかというと、私は必ずしもそうではないと思う。

エネオスも非化石エネルギーへの転換が必要になる中、JX金属のIPO(株式公開)で得る原資をそちらに向けていき、両者がともに成長していくのがいちばんよいと判断していただいた。より大きなビジネスモデルをつくっていくのだと思う。

――今後、エネオスHDとの関係はどうなりますか。

日本鉱業時代からかなり特殊な形で金属と石油の両輪でやってきた。しかし、そこに何かシナジーがあったかというと、残念ながらあまりなかった。

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