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ソニーに売られた会社「時価総額10倍」の復活劇 デクセリアルズが見いだした「勝ち筋」とは?

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新家由久/しんや・よしひさ 1969年生まれ。近畿大学大学院産業技術研究科卒業。2001年にソニーケミカル(デクセリアルズの前身)入社、2012年デクセリアルズオプティカルソリューションプロダクツ副事業部長、2017年デクセリアルズ上席執行役員・商品開発本部長。2019年に代表取締役社長に就任(写真:大澤誠)
スマートフォンはじめエレクトロニクス分野で大手顧客を多数抱える、電子部材メーカーのデクセリアルズ。ディスプレーの機能や性能を高める、異方性導電膜(ACF)や反射防止フィルムが主力となっている。2012年、ソニー(現ソニーグループ)による事業の「選択と集中」を受けファンドへ売却され、デクセリアルズに社名を変更した。
2015年に再上場。長らく停滞していた時価総額は、大底だった2019年3月の約420億円から直近(10月24日時点)で4200億円超へ上昇している。新家由久社長に、復活劇の経緯を聞いた。

 

――2015年の上場後、売上高700億円以下、営業益100億円以下でしばらく停滞していました。ところが、4年ほど前から好転し、2024年3月期は売上高1051億円、営業益334億円となりました。どうやって成長軌道に戻したのですか?

前身のソニーケミカルはもともと、非常に独立心が強い子会社だった。東証2部に上場(2000年に上場廃止)し、ソニーへの売上高比率もかなり低かった。

コロナ禍でサプライチェーンが混乱して在庫確保の動きが高まったのを追い風に、2022年3月期は好業績(売上高957億円、営業益266億円)となった。これは「瞬間的」と市場から指摘されたが、その後の調整局面の中でも成長できている。

われわれのビジネスモデルの強みは、消費者に近いトップメーカーと取引していることだ。先回りして製品を開発し、ソリューションとして提案していくことで、ニッチながらグローバルシェアトップの製品が非常に多い。これまでとがった製品に経営資源とリソースをかなり振り向けてきたが、それが世の中の技術トレンドにしっかり乗ってくれた。

――歴代社長は、親会社ソニーの出身者でした。初の生え抜き社長だから改革できたところは?

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