「私たちが個室での支援を通じて、相部屋よりも支援効果が高く、結果的にコストも抑えられるというデータを示せれば、国への政策提言につながるかもしれない」。ホームドアの挑戦は、目の前の人を救うだけでなく、社会の仕組みそのものを変えるための試行錯誤でもある。

川口氏は、高校3年生のときに描いた「夢の間取り図」をずっと持っている。「この絵の中で、ひとつだけできていないことがあるとすれば病院」と明かす。
糖尿病で動けない人が救急車で搬送されても、薬をもらって帰らされるだけ。歩けないため、タクシーで元の場所に戻るしかない。そんな現実に何度も直面してきた。「困窮状態にある人に寄り添える医療のサポートができたらなと思う。ただ、まずは『アンドベース』の運営を安定させ、スタッフを充足させて理想の支援の形にしていきたい」と語った。
「活動地域を大きく広げることよりも、今は支援の精度を磨き上げたい」と川口氏は語る。路上から脱したいと願う人がいる限り、その声に応えるための選択肢を差し伸べ続ける。
以下では、ホームドアの概要や企業との連携などを紹介する。
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