「失敗ができない日本」が変わらなかった特殊事情 会社の倒産で経営者も自己破産に追い込まれた

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ちなみに、政府系金融機関の平均も「39%」(2019年度)から「57%」(2024年度上期)に大きく伸びており、信用保証協会が取り扱った件数の数も、「24%」(同)から「35%」(同)に伸びている。金融庁による監督指針改正が、大きな威力を発揮したことは間違いないだろう。それ以前の融資では、7~8割が個人保証付き契約になっており、いま現在も返済している企業は数多い。経営者やその親族の資産が依然として担保として差し出されていることに変わりはない。

また、金融庁の監督指針改正には法的拘束力がなく、融資先である中小企業ももともと経営基盤が脆弱なところは、個人保証なしでは資金調達できないという現実があるのも事実だ。言い換えれば、そういうゾンビ企業をいつまでも放置していたことが、日本経済の産業効率の悪化を招いてきたともいえる。

「事業融資推進法」は日本再生の切り札となるのか?

そんな状況の中で、2024年6月7日に国会で成立した「事業性融資推進法」が注目されている。金融機関が設定する担保物件が、不動産や有価証券等の「有形資産」だけではなく、知的財産や事業ノウハウ、顧客基盤などを含めた「無形資産」も、企業価値として担保に加えることができるようにした法律だ。

融資に個人保証を求めるケースを少なくしようという動きのひとつである。資産を持たないスタートアップ企業などに対して、担保の範囲を拡大することによって、融資の際に個人保証をとらずに済むようにと定めた法律とえる。

この制度は、2021年4月に法務省がスタートした担保法制の見直しに対応したものともいえる。もともと日本の金融機関は、不動産や有価証券といった有形資産を上回る融資に対しては、融資して来なかったという歴史がある。しかし、近年担保の範囲内だけの融資では、債券や株式の発行といった資金調達の多様化によってライバルが多くなり、担保の範囲を超える融資が当たり前になってきている。

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