「失敗ができない日本」が変わらなかった特殊事情 会社の倒産で経営者も自己破産に追い込まれた
さらに、融資する金額の範囲内で担保や保証があった場合、金融機関はその企業の動きに興味を持たなくなり、企業活動を細かく観察するといった当たり前の業務を怠るようになっていた。金融機関本来の役割でもある適時、適切な支援を行わない弊害があったわけだ。
アメリカのGoogleやAmazonといった「マグニフィセントセブン」も、もとはと言えばスタートアップ企業からスタートしたものが多い。成長していく過程で潤沢な資金が投資されてきたわけだが、日本にはそうした伝統があまりなく、金融機関に頼られてきた部分がある。にもかかわらず、日本の銀行は「適格担保」と呼ばれる不動産や有価証券の担保に頼りすぎてしまい、積極的な与信ができなかったという現実がある。
ちなみに、金融庁が「事業性評価」という概念を導入したのは、2014年9月の「金融モニタリング基本方針」でのこと。ただ、残念ながら「この事業性評価は、もっぱら財政状態の悪化した企業の再建に活用されることになり、依然として資産背景に乏しいスタートアップ企業の資金調達に活用されるケースはまれだ」(日経クロステック「事業性融資の推進等に関する法律」が成立し、企業価値の担保権が創設された」2024年7月23日)とも報道されている。
「個人保証」を不要とする新制度が続々登場!
たとえば、経済産業省は2024年3月15日から、保証料を上乗せすることで個人保証の提供を不要とする「保証料上乗せによる経営者保証の提供を不要とする信用保証制度」の申し込みを開始している。中小企業の4割が利用している信用保証制度だが、そのうちの7割が同時に個人保証を付けているのが現状だが、一定の要件を満たすことで、経営者などの個人保証を外すことができるとされている。
一定の条件とは、過去2年間の貸借対照表や損益計算書、資金繰りを示す書類などを金融機関に提出していること。債務超過ではないこと、代表者への役員報酬などが社会通念上相当であることなどが求められるものの、一定の保証料(0.25%もしくは0.45%)を上乗せすることで個人保証が不要になる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら